御府内八十八ヶ所巡り 平成二十八年五月 五

五月二十四日

1年置きに行われる私の師匠筋に当たるSさんの絵画の個展が今日から日曜日まで行われると言う訳で、南青山に行く途中に何か所か回ることに決めた。次いでの次いでと電車で有楽町まで行って、西チャンスセンターでドリームジャンボを購入し、日比谷公園を回りながら溜池の方に向かったのであるが、宝くじ売り場も売り出し中盤となって来るとすいていて、一番売り場でさえも十五分くらいだけ待っただけで購入することが出来た。それにしてもサミットが行われるため、あちらこちらで警官の姿が見られた。新しいTBS(だいぶ前に新社屋になったはずだがこのあたりに足を運んだのはほとんどない)を抜け、TBSの坂を登ると驚いたことに元居た会社のKさんが私の前を横切って行った。右にはマンションの様なビルディング。軒からは部長のSさんが出てきて、移動屋台の前に並んでいるのはKさんであった。なんとなく声を掛けるのに気が引けたので、そのまま知らんふりをして直ぐ近くの光蔵院に向かった。

ご存知日比谷公園。園内はいろいろなイベントが行われる場所としても有名

第八十一番所 光蔵院

八十一番所光蔵院

赤坂の住宅街にあるこのお寺は寺と言われなければ赤坂の大きな邸宅と言われてもそれで通るくらい、お寺らしくない。インターホンを押すと住職の奥さんだと思われるご婦人がパイプシャッターを開けてくれた。中はベンツと何かの外車。お客さんの度に開け閉めするのは大変ですねと言うと、危ないですからと答えられた。駐車場の隣の縁側の様な引き戸を開けると小さな本堂があり、金の御堂の中に弘法大師さんがお座りになっていた。座敷に上がることは遠慮し、御朱印を頂いて次の目的地へ。

なんともかわいらしい大師さんの木像

坂を下りると赤坂の繁華街の通りに出た。助手をやっていた頃旧三和映材社が近くにあったのでよくこの場所に足を運んだが、TBSの辺りがあんなに変わったのにこの通りの雰囲気はほとんど30年前と変わっていない。こんなところにお寺があっただろうかと記憶をまさぐるが、当然思い出すことはできなかった。

第七十五番所 威徳院

葬儀場は真新しいビルだったが、手前のお寺は工事中だった。プレハブのなかに小さな御堂が仮設してあり、そこでお参りすることになっていた。御朱印は後日送ってくれると言うので、箱を捜したが見つからない。何度も捜してやっと見つけたのは入口のポストであった。その中の封筒に300円を入れて住所を書いてポストに入れた。色々戸惑ったり、他にお参りの人がいたので慌ててしまって写真を撮るのをすっかり忘れてしまった。

と言う訳でてくてく歩き始めたのだが、今日はあまり調子がよろしくなく、このまま南青山に向かおうかと思うほどであった。しかしながら頑張って歩き続け、赤坂御用地の周りを警察官と何度もすれ違いながら信濃町に向かった。信濃町で驚いたのはあの東電病院がなくなっていたことだ。工事中である。何が建つのかわからないが、徳洲会から猪瀬前知事への五千万円収賄事件の一つの目的であった場所が跡形も無くなくなってしまうとは!!すごいねえ。国家ぐるみの証拠隠滅かっ???臭い物には蓋ではないが忘れさせる手としては、あまりにも大ぴらで驚いたわ。

第四十四番所 顕性寺

この辺りも寺社が多く、東京は本当にお寺と神社が多い場所ということになるのだろう。もちろん江戸時代から引き継いでいるからだろうが。顕性寺は二階建ての本堂があり、奥にはお墓が見られるが、外からは何も見ることが出来ない。下で御朱印を頂いて、すぐに次の場所に向かうが、道を間違ったりして、真成院に着いた。

第三十九番所 真成院

このお寺は御府内三十九番所だけではなく、江戸三十三観音十八番札所、関東九十一薬師霊場十三番所、更に密門会本部ということになっている。外に地蔵菩薩の銅像があったのでその前で手を合わせホールの中に入る。建物は古いが一番所を除いた一番立派な感じだ。中にはかなり年配の太った事務の方(僧侶かもしれなかった)がいた。お願いするとお手伝いが呼ばれ、奥の本堂に通され、お経を自ら納経することが出来た。真ん中に観音様、右手の小さな木彫りの方が空海さんであった―端に控えめに座っている。玄関のすぐ入って右手に薬師如来様あった。御朱印を頂いた時に冊子も渡してくれたのだが、後で見てみると昭和大仏がある青龍寺の名前があった。青龍寺はここのグループということか…。と言う訳で、隣に移動。

本当のお隣さんです

第八十三番所 蓮乗院

 

真成院に比べると大変地味なお寺だ。田舎のお寺の様である。内からかどうかわからないが、言い合いをする声が聞こえた。本堂右側の住職の自宅で、住職と奥さんが玄関開けっ放しで喧嘩していた。何でもなかったように声を掛けると奥さんが消え、住職が御朱印をその場で書いてくれた。大分お歳のように見えたが、なかなかかっこいい字体であった。花の写真を撮って移動。坂を下りて少し歩いてほとんどと裏の辺りに愛染院がある。

第十八番所 愛染院

ネットで調べてわかっていたのだが自筆の納経をしなければ手書きの御朱印がもらえない場所だとは思わずに入ったのだが、門が開かれていたのにもかかわらず、自動のインターホンがずっと鳴りっぱなしで、本堂の前に行くと手書きのことが書かれた札があり、そのことを思い出した。と言う訳で、自宅のインターホンを押すと、自分と同年配の奥さんが出て来たので自筆の写経を手渡すと裏のほうできちんと書かれた御朱印を渡された。別段何も言われなかった。で向かいに移動。

庚申塔と梵鐘

双子の水子のお地蔵?

第二十一番所 東福院

本堂は近代的な建物の中にある様で、観世音菩薩像と手首がない豆腐地蔵さんがあった。手を合わせ、横の事務所へ。何かを話しあっていたのだが、どうやら防犯カメラ業者に映像の指示をしているようだ。こっちはどうでもよい感じだったが、若い僧はそういう訳にもいかないと御朱印を渡してくれた。素っ気ない感じだが、若い人、たとえ修行僧だとしても、そんなもんなのだろう。で移動。

自分もほとんど毎日のように豆腐を食べるので地蔵様のような人なのかな?

来た道を戻り外苑東通りを通って国立競技場跡に出た。更地になったが、建設は何もしてない模様。競技場の中に入ったのはたったの一度だけだったためかあまり深い感慨はない。それよりも気になったのが都営住宅だ。シネオカメラに通っていた時もあまり気にしたことは無かったが、あれも25年前の事なので仕方がない。移動しなければならない人の気持ちは察することが出来るが、あまりにも綺麗になった東京の真ん中で取り壊そうと判断されても仕方がない古さだった。歳寄りにとってはこんな都会で生活するよりは田舎の方が良いと私は思うのだが…。私が言う田舎とは地方都市のことを言っているのであしからず。それにしても、安い金額で住まわせるにはあまりにも土地の方が高いだろうと思ってしまう。

ある意味すごい光景

第十番所 聖輪寺

助手、三十代のフリーの時代に何度か食べたホープ軒の横を通って、少し入ると目当てのお寺はあった。墓所の手前の無縁塔の隣に顔が取れた五人地蔵があった。なぜ顔がなくなったのかよくわからない。歴史は最も古いらしい。住職の自宅もきちんとしていて御朱印を奥さんから戴いた時には娘さんと思われる方もいた。

第九番所 竜巌寺

都営住宅横を通って、坂を登ると国学院高校の真向かい、ここは青山か?という場所が竜巌寺だ。中はそれなりに手入れが施されているが、周りが、特に墓地の後ろの方が荒れている。門には檀家以外立ち入り禁止の札が、写真を撮っている時に中に人の姿が見えたが、時すでに遅しだった。インターホンもないので迷った挙句、引き上げることにした。家に帰った後、ネットで調べてみると勝手に門を潜って、御朱印を求めても文句は言われないようだ。土曜に挑戦してみることにしよう。その後、Sさんの個展へ。

翌日

原宿のすごい人込み、すごい外国人の数を抜け、龍厳寺を再び訪れた。今回は躊躇することなく、くぐり戸を開けると、取り付けられている鈴が鳴って、中に作業着を着た人と女性がいた。女性がここの奥さんだと思い声を掛けようとすると、向こうから、八十八か所巡りの人ですかと訊かれたので、同じ言葉で参りましたと返し、本堂に手を合わせるように言われたので手を合わせ、御朱印を戴きたいんですけどと尋ねると、菓子が入っていたアルミ缶の箱からあらかじめ書かれていた御朱印を渡された。二十八年五月となっているが、日日が書かれていない。日日だけでもその場で書いてくれてもいいものだがと思いながら、例の札の件の、ここは勝手に高校生なんかが入って来るんですか?と尋ねると、外国人がお墓に悪戯するので困るんですとお話ししてくれた。まあ、色々な事情があるのだろうと、くぐり戸を閉めてこの場を離れたのだが、ここが青山だとは思われないくらい、中の本堂や寺務所(小屋にしか見えない)は古いままだし、墓所の周りは荒れているように見えた。決して掃除を施していないと言う訳ではないのだが、建物などにはほとんど手を掛けていないと言うか、新しくするつもりがないようだ。もちろんここに彼女や住職が住んでいるようには思われず、前庭に昨日も止まっていたプリウスは彼女が家から移動のために使っているのだろう。いやはや、色々な意味で大変なお寺だ。

歩行距離 
3.6km 有楽町→光蔵院
0.9km 光蔵院→威徳寺
2.8km 威徳寺→顕性寺
1.5km 顕性寺→真成院→蓮乗院→愛染院→東福院
4.2km 聖輪寺→竜巌寺→2104ギャラリー

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